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雄弁なふたり

kindle unlimited最後の恩恵にあずかったのはこの本です。お試し期間は今日までなので、ぎりぎりの感想文。

武術家の甲野善紀さんと精神科医名越康文先生、大の仲良しなふたりが喋くり倒す対談本です。ふたりの話を聞くと、いつも「居着き」という状態がどういうことかということを思い出させてくれます。不安になるとか、その場の空気に支配されるとか、怯んでしまうとかいう居着き。
この本で面白かったのは、名越先生が合コンでも「場の目的に居着かされてしまう」ものだと言っていたところ。普段からあのシステムにただならぬ嫌悪感を持っていたんですけど、恋愛したいという目的ありきで集まるという、システマティックな人付き合いの胡散臭さが嫌なのか。それでいて合コンが始まってしまうと、雰囲気におされてつられて自己紹介とかやってしまう、あの感じ。

そう考えるとほんの少しやった就活でも私は必死にその場に合わせようとしていました。まさしく居着いていたんだな。ちゃんと就活してるし、明るく振舞おうとしてるから、採用して、頼む!みたいな、自ら支配されることを望んでいたような姿勢でしたね。体、こわばってましたねえ。未だに笑える過去でございます。

名越先生の鋭さはメディア観にもあらわれていました。メディアが気にしているのは本質を伝えることじゃなくて、尺をあわせること、紙媒体なら紙面に当てはめること。なので紹介される意見は極端になりがちで、どちらともいえない複雑な意見なんて出せるはずがない。メディアの本質は「枠組み」ということを理解して情報を得ることが大切だと。
「真理というのは内容じゃなくて、紙面と尺に依存している」と一言で素敵にまとめてらっしゃいます。メディアに若干携わる身として、すごくよくわかりますし、まさに膝を打つって感じで納得できました。やはり名越先生のものの見方は面白い。ノリノリで喋ってらっしゃるのも、大好きな甲野さんと対談してるからかな?

そして甲野さんは説明のつけようがないスゴイ人マニアぶりを存分に発揮していました。宗教「大本」の出口王仁三郎が本当に凄い人だと言っていたけれど、検索したら未だかつてないレベルのトンデモな匂いがして怖気づいています。甲野さんの振れ幅広いなー!

でも名越先生が凄いといっていたイングマールベルイマンの映画は観てみよう。