初ベルイマン

過去の名作にいくつかチャレンジしてみるのですが、「ベルリン・天使の詩」でかなり眠くなってしまったこともあり、今回もレンタルしてきたもののぐずぐずと見るのを伸ばしておりました。なぜかそんな映画ばかり挑戦している気がする…

いやあ、でもこれは面白かったです。白黒だし、話もテンポ良く進むわけじゃないし、淡々とはしているんだけど。画がいちいちどれも素敵。どアップになる女優さんの角度が素敵。いきなり「ガーーーーン」ってSEが入るのもなんか気持ち良いんですね。なんでしょうね。もちろんぜんぜん何が何だかよくわからない映画でしたけど、眠くならずに面白く観られたんですよねえ。
あとファッションもとてもおしゃれでした。看護婦・アルマが怒りくるうときに着ていたブラウスとスカート欲しいぞ…?エリザベートのシックな女優スタイルも綺麗でした……。セリフまったく無いのが逆にとてもエレガントで。うっとり。

白黒映画だからこそ闇と光のコントラストが強めにしてあって、ずいぶん過激だなあと思いました。とにかくギザギザした、狂気がにじみ出る映画でした。やたらドキドキしたわ!他の作品も観てみよう。

人生を「生きて」いるか

徳の実践こそが幸福に至る理想の生き方である、と説くのがストア派。こういう簡略化した文章は、じっくり本を読み通したあとで初めて理解できますね。高校の倫理の授業では無理だったなあ……。

ストア派セネカさんは、思考の出発点がすごく世俗的。周りの入念な観察を経て、身近な人々を思い浮かべながら「こんな人たちでも善く生きるにはどうしたらいいだろう?」と実用的な道を模索しているのがよいです。あと翻訳読みやすくて有難かったです。

暇は潰すな

「人生の短さについて」ではいかに人々が時間の浪費に無頓着であるかを嘆きます。仕事漬けの人、娯楽や他人につきあうことに時間をささげる人…それらはみな時間を投げ捨てている。多忙な人は「人生を生きている」とは言わず、「そこに在った」だけである、と(辛い)。
また、そのように多忙な人は暇な時間に耐えることができない、とも。

比較的、一人遊びは得意な方だけど、たまに暇で仕方なくて、パーっと気分を盛り上げる何かをしたくてむしゃくしゃする時があります。その場合、誰かと出かけるとか、何かを消費するとかが特効薬になるんだろう。でもそれは、遊びたくて遊ぶとか、消費したいものがあって買いに行くとかではなくて、「暇を潰す」ことが主目的になっている。暇の有意義な過ごし方については、よく考えます。 ツイッターやテレビを惰性で見ているときも「ただ在るだけ」のような怠い感覚があります。そこでハッと気付いて止められるか?何をしたいかわからずダラダラしていると、セネカにこう言われます。

このような者は暇のある人ではない。彼には別の名前をつけたらよい。彼は病んでいる。いや、死んでいるのだ。(p37-38)

お前はすでに死んでいる というセリフが2000年前にすでにあったとは……

お天道様が見てるという精神で

「心の平静について」と「幸福な人生について」では、運命に期待し、隣の芝生ばかり羨む人がいかにして自己嫌悪に陥るかという心のメカニズムをずばり解き明かしています。「私のことかー!!」と何回叫んだか……。ここでも、今でいう「人類爆発しろ」みたいなヤケになった考えがすでにあることが分かります。人類、全然進化してないですね。

幸せに至る道を考えるとき、セネカが強く戒めるのは「人の模倣をするな」。

人生に関する事柄は、多数の者に人気のあるほうが善いというふうにはならない。最悪のものだという証拠は群衆なのである。(124)

とまで言ってしまいます。これを実践できるかどうかが鍵じゃないだろうか。周りがそれを是とするから従うのでは自分で考えていないですもんね。

そういう観察から生まれた思考によって、「徳の実践、理性に基づく行動こそが大事」という思想にいきついたんですね。お天道様が見てる、というのは神様じゃなくて自分自身のことでもある。自分に褒められるような自分でいよう、という意識が大切なんだなあ。

手に取るように「編集」がわかる本

職業としての「編集者」
片山一行
エイチアンドアイ
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ビジネス書を読む時は何となく隠れキリシタン的にこそこそ読むし、ツイッターで書名を呟くのが憚られる。カッコがつかないジャンルということは、ベストセラーも多くあり、大衆が最も手に取る、庶民的なものということでもある。

著者はビジネス書の編集に携わって40年の大ベテラン。まだ書店に経理や税金などについては「法律経済書」と呼ばれる小難しい専門書しかなかった時代に、ビジネス書という易しい入門書を打ち出した世代だそう。

この本では、ビジネス書の作り方と「本づくり」への著者の美学や信念が込められていて、これもまた立派な編集ハウツーもののビジネス書である。びじねすびじねすくどいですね。でも著者の方が相当くどかった。この、くどすぎてバカにされてるような、イライラしてくる感じ、まさにビジネス書によくあるやつだ。しかし一見レベルが低いような繰り返しにも理由はある。

ビジネス書は「分かりやすさ」が第一。

「手に取るように○○が分かる本」や「3分で○○がわかる!」などのタイトルがあるように、ビジネス書はすぐに答えが知りたい多忙のビジネスマンや、キャッチーなタイトルと読みやすさに惹かれて本を選ぶような、普段は本を読まない人のために書かれている。噛み砕いて説明する時、繰り返しはどうしても必要になるし、易しくざっくりまとめれば内容は薄く感じる。

それに編集者は文章だけでなく見た目でも分かりやすさを追求する。例えば、改行はひと段落が5行以上にならないように。ページの字数も少なめに。そして要点のまとめを図解で入れる……などなど。

こうしてみると、ビジネス書は徹底的に読者目線である。まさに至れり尽くせりで、本を読まない人も手に取りやすいのは分かる。 でも「『これを押さえれば会話の9割がは進む!』などと言われるとついフラフラ買ってしまうのが読者心理である」と著者がこぼしているあたり、読者目線!といいながら、耳障りのいい言葉で器具の購入を促す、ダイエット商品の通販番組みたいでもあるなあと(笑)。どの本を読む時も同じだけど、やはり目的意識を持ったりとか、何か面白いところはないかと能動的に読む姿勢が何より大事である。本当に9割が分かってしまえる可能性もあるのだし。

今まで何となく、ビジネス書とか自己啓発書とかって、「分かりやすさ」病が深刻なのではと思っていたのだけど、そもそもビジネス書の出発点がそこだと分かって何となくすっきり。そして著者はさすがにベテランなだけあって、どんな本でも魂を込めようとする姿勢を持ち、装丁テクニックなど細部への配慮を怠らない、とても誠実な人だなという印象でした。

それに、何かを分かりやすく伝えようとする試みはそれをする人自身を凄く成長させると思う。その点で、ビジネス書は書いた者勝ちなところがありそうだ。今のSNSのように、カジュアルに全員がビジネス書を出す日が来たりして……

雄弁なふたり

kindle unlimited最後の恩恵にあずかったのはこの本です。お試し期間は今日までなので、ぎりぎりの感想文。

武術家の甲野善紀さんと精神科医名越康文先生、大の仲良しなふたりが喋くり倒す対談本です。ふたりの話を聞くと、いつも「居着き」という状態がどういうことかということを思い出させてくれます。不安になるとか、その場の空気に支配されるとか、怯んでしまうとかいう居着き。
この本で面白かったのは、名越先生が合コンでも「場の目的に居着かされてしまう」ものだと言っていたところ。普段からあのシステムにただならぬ嫌悪感を持っていたんですけど、恋愛したいという目的ありきで集まるという、システマティックな人付き合いの胡散臭さが嫌なのか。それでいて合コンが始まってしまうと、雰囲気におされてつられて自己紹介とかやってしまう、あの感じ。

そう考えるとほんの少しやった就活でも私は必死にその場に合わせようとしていました。まさしく居着いていたんだな。ちゃんと就活してるし、明るく振舞おうとしてるから、採用して、頼む!みたいな、自ら支配されることを望んでいたような姿勢でしたね。体、こわばってましたねえ。未だに笑える過去でございます。

名越先生の鋭さはメディア観にもあらわれていました。メディアが気にしているのは本質を伝えることじゃなくて、尺をあわせること、紙媒体なら紙面に当てはめること。なので紹介される意見は極端になりがちで、どちらともいえない複雑な意見なんて出せるはずがない。メディアの本質は「枠組み」ということを理解して情報を得ることが大切だと。
「真理というのは内容じゃなくて、紙面と尺に依存している」と一言で素敵にまとめてらっしゃいます。メディアに若干携わる身として、すごくよくわかりますし、まさに膝を打つって感じで納得できました。やはり名越先生のものの見方は面白い。ノリノリで喋ってらっしゃるのも、大好きな甲野さんと対談してるからかな?

そして甲野さんは説明のつけようがないスゴイ人マニアぶりを存分に発揮していました。宗教「大本」の出口王仁三郎が本当に凄い人だと言っていたけれど、検索したら未だかつてないレベルのトンデモな匂いがして怖気づいています。甲野さんの振れ幅広いなー!

でも名越先生が凄いといっていたイングマールベルイマンの映画は観てみよう。

政治とかいう、大変そうなやつ。

官房長官と口喧嘩をしたらこてんぱんにやられてしまうだろうなとよく考える。どんどん激昂する私、永遠に冷静な長官、ついに手が出そうになる私、そんな醜い私を長官は鼻で笑って虫ケラを見るような目で見て……と容易に想像できるのですね。

というわけで菅さんについて興味がわいてきたので、彼の名前で検索して出て来たこの本を読んでみました。読み放題対象だった…有難いことです。
中身を開くと菅官房長官は序盤に危機管理を褒められたあとほぼ出てこなくなりますが、歴代の官房長官の仕事ぶりがわかるうえに、佐藤栄作あたりから現在の安倍政権までの流れが掴める、大変面白い本でした。

著者が政治担当記者として接することの多かった野中広務さん、後藤田正晴さんがメインの扱いを受けています。お二方とも人柄がよさそうに書かれているのは、著者が世話になったからというのもあると思うけど、後藤田さんは宴会が嫌いでさっさと家に帰って勉強していた…というエピソードがあって、それだけで好きになるには十分でした。あと、「政治はカネ、という風潮だけは許せない」と語っていたという、根回しが器用に出来ない福田赳夫さん。ほのぼのします。

最近好きな作家さんなどがよく言うのですが、つくづく政治って「不満を分配する」ことなんだなと思います。国民、国、外国、官僚、所属する党などあらゆる要素から検討をして、混乱に陥らないための落とし所を見つける。卒業式で国歌斉唱と国旗掲揚を法律で決めたこととか、当時の社会党がそれまで反発しあっていた自民党と連立したこととか、そういう流れで苦肉の策だったんだなと。いつも国民はただ不満をぶつけるけど、政策というものはそもそも不満なものである、ということなんでしょう。圧倒的に正しい決定なんて有り得ないんだなあ。その決定を支えるマネジメントを官房長官は一手に担うわけだけど、水面下でどれだけ動き回っているのかと考えるだけでしんどいです。ぜったいやりたくない(笑)。

沖縄にいるとどうしても自民党の政策は聞き入れたく無いことばかりなので感情に邪魔されがちだから、こうして自民党の人たちについてフラットに知ることができてよかったです。でも、ちょっと前までは戦後復興を目的に政党内で一丸となれたけど、戦争の記憶が薄れる中、今の内閣がどう組織されているのか、と考えてみたらけっこう大変なことになってません?(笑)後藤田さんは中曽根総理と基本考えが合わなかったらしいけど、そういう反対意見を取り入れながら議論できる政府であって欲しいと思います。

あと2.26事件が何だったのかがやっと覚えられて嬉しいです。やっぱり学校の歴史の授業スタイルじゃあ何も入ってこないよなあー。それと官僚と政治家の違いも明確にわかってなかった……恥ずかしい限り…

11人いる!onトーマの心臓

トーマの心臓」を何度目かわからないけど再読していて、心が震えつつも、私は「11人いる!」のふたりが好きなので、このふたりをシュロッターベッツ校に混ぜてみました。
描いていて自分でユーリとタダの関係を妄想膨らませて悶えたね……。きっとふたりは常に1、2位を争う秀才同士でお互いを尊敬し合う友人で、声を荒らげることなく議論を重ねてあいながら互いの知性を磨き合うんだろうな。
特にタダさまは行動力も兼ね備えていますから
なんだかんだ一番タダが好きです。なんでもできるし、優しいし、超ハンサムだからです。

というか、萩尾望都先生が本当にいちばん好きです。

Animal Collective @Makuhari Messe Aug.20.2016

ライブレポかくの久々!絵付き!
サマソニの深夜枠、hostess club all nighterで初めてのアニコレちゃんライブでした。 ダイナソーjrも気になっていたけれど、何より体力優先にして、deerhunter見たあとはマシュー・ハーバートのdj聴きつつ待機。いやマシュー先生のdjめちゃくちゃ楽しくてだいぶ踊ってしまいましたけどね。あとdeerhunterのliving my lifeがあんな素晴らしいことになってるとはおもわず感激でした。サックスいいなー!かっこいいなー!

我が家のアイドル、ノアちゃんの目の前4列目あたりを死守。さすが10年以上アイドルとして崇拝していただけあって、ライブで動いてるのみるとなかなかグッとくるものがありました。何より髪型がちょうどいいのが最高でしたね……深夜3時からのスタートでしたがアニコレさんは声の調子もよさそうでした。私も頭痛とかしなくてよかった。。

ライブバージョンの予習はなにひとつしていなかったので、ドラマーガイが新たにいるのも初めてしったんですけど、機械音にドラムをひたすらあわせるの大変そう、でもほんとよかったです。Loch Ravenが踊れる曲に変身しててびっくり!フロリダダでちょいとズレてしまったのはご愛嬌。1回目のサビ終わったあとうまくいかなくなって、もっかい初めからやってくれたのでお得感すらありました。
その時エイヴィさんが「ミスりましたけど、ノアさんどうしましょ」というかんじで苦笑いしながらノアちゃんを見つめていたのがまたグッとくるものが……(細かすぎて伝わらない)。アニコレの役割分担についてまったくわかってないんだけど、曲のベースになる部分はノアさんが出してるってことでよいの?卓しか見えないからわかんないんだよねえ。解説してくれてるインタビューとかないのかな。

過去の名曲を一切やらないフェスらしからぬ選曲でした。機材にデータ残ってないんじゃないかな?w
feels〜メリウェザあたりに聴けていたら、もしかしたらそっちのほうが良かったのかもなあとは思ったりするけど、painting withがでたタイミングでのライブで満足!だって1曲が短いからたくさん聴けるし、わかりやすい曲ばかりで優しいんですもの。優しくて易しい曲の代表格、on delayとsumming the wretchがとにかく気持ち良かったです。summing〜はthe burglarsにピークを持ってく前にやってくれて、そのポジションに置いてくれるのか…!この曲を…!と感動したものです。

ノアとエイヴィのかけあいほどこの世に可愛いものはないと断言できるんですけど、改めて聴くと1音ずつ交互に歌うのって相当仲良しだなあとしみじみ思いました。ふたりのハーモニーこそがアニコレの肝だなあ。ノアさんがひとりで一生懸命うたうdaily routineもひとり聖歌隊みたいでよかったですけどね。

お絵描きのイメージは、後ろにおいてあるハリボテたち(ハッチポッチステーションに出てきそう)が実は3人の本体だったりして…というのと、ライブバージョンは曲に切れ目がなくて、1曲終わると少しずつ次の曲のフレーズが入り出していくというスタイルなので、なんかひとつのパズルが完成したあとピースの形が変化して、また新しいパズルがつくられてゆく感じだなーと思ったのを足しました。足しすぎたか?(笑)


もうね。永遠のアイドルです。